産業廃棄物収集運搬業の許可申請で提出する書類の中に、決算報告書があります。財務状況によっては追加資料が必要になる場合があります。行政庁がどのように財務状況を見ているのかを知っておいた方が良いと思いますので、ご紹介します。
目次
決算報告書として提出するもの
決算報告書として、直近3事業年度分の資料を提出します。
決算報告書にはいろいろなページがありますが、提出対象とされているのは以下4つです。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
各県によってチェックしている箇所が違う?
さて、この決算報告書について、提出すればよいというものではありません。
会社の財務状況をチェックするためのものですので、数字を見ていく必要があります。
注意したいのが、許可主体の都県によって、チェックしている箇所が違うということろ!
東京ではOKだったのに、千葉では追加資料提出を求められる、ということもありますので、しっかりと確認しておく必要があります。
東京都は、貸借対照表の「純資産」
東京都の場合、貸借対照表の「純資産」をチェックしています。
ここがマイナスとなっている場合、財政能力に問題ありとなります。
ただし、直近の納税額が1円以上、かつ、3年間に未納税額がなしであれば問題なしとされます。
財政能力に問題あり、となってしまった場合、追加書類として「経理的基礎を有する説明書」を提出する必要があります。
この書類は、中小企業診断士、公認会計士または税理士により作成される必要があります。
ちなみにこの書類を提出しないと、不許可となりますので絶対に提出しないとダメです。
千葉県は、貸借対照表の「繰越利益剰余金」
千葉県の場合、貸借対照表の「繰越利益剰余金」をチェックしています。
ここがマイナスとなっている場合、財政能力に問題ありとなります。
財政能力に問題あり、となってしまった場合、追加書類として「収支計画書」を提出する必要があります。
書類作成者についての指定はありませんが、今後どのように財政を改善させていくかをしっかりと数値化して記載する必要があります。
収支計画書の書き方にはいくつかポイントがありますので、別記事でご紹介します。
埼玉県は、貸借対照表の「純資産」と損益計算書の「経常利益」
埼玉県の場合、3段階のチェックをしています。
まず、貸借対照表の「純資産」。
「純資産」がマイナスとなっている場合、次に損益計算書の「経常利益」をチェックします。
「経常利益」がプラスなら、「財務実績・計画書」を作成して提出します。
この書類には作成者の指定はありません。今後の改善計画を数値化して表現すればOKです。
「経常利益」がマイナスの場合、今度は直近3年間の「経常利益」「経常損失」の合計を出します。3年間の合計がプラスなら、上記「財務実績・計画書」でOKです。
3年間の合計がマイナスとなってしまったら、「財務診断書」を作成しなければいけません。
この書類は、中小企業診断士または公認会計士が作成する必要があります。
税理士さんではダメ、という点で東京都よりも制限が厳しくなっています。
まとめ
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決算報告書として提出するのは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の4つ
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財務状況により、財務改善計画の追加書類を提出する必要がある
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財務状況の判断ポイントは、各都県により異なるので注意が必要

行政書士 高橋 剛

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